【帰化コラム】「帰化」と「永住者」の違いとは?

「帰化」と「永住者」はいったい何がちがうのでしょうか?

大きな共通点としては、期間の制限なしに日本で生活できるという点ですが、その内容は大きく異なっています。

ひとつひとつ確認していくことにしましょう。

帰化と永住はいったい何がちがうのでしょうか?

「帰化」と在留資格「永住者」

まず大きな違いとしては、帰化は外国人が日本国籍を取得して日本人になることをいいます。

いっぽうで、永住とは日本に在留するための在留資格「永住者」のことを指しています。

「永住者」は、外国人が自分の国籍はそのままに期間の制限なしに日本で居住することができる在留資格となっています。

当事務所が運営する別サイトになりますが、永住許可申請については次のサイトでも詳しく解説しています。
許認可.net 「永住許可申請

帰化と永住の比較

帰化申請と永住申請は、申請窓口や要件、審査に係る期間など大きく異なっています。

次の表にわかりやすくまとめておきますね。

帰化と永住の違い 帰化 永住
国籍 日本国籍となり、本国の国籍は喪失 本国の国籍のまま
根拠法 国籍法 出入国管理及び難民認定法
申請窓口 住所地を管轄する法務局 住所地を管轄する出入国在留管理局
審査期間 おおよそ10か月~12か月 おおよそ4か月~6か月
住居要件 継続して5年以上の居住(うち3年以上が就労可能な在留資格)
※要件緩和される場合があります。
継続して10年以上の居住(うち5年以上就労可能な在留資格)
※要件緩和される場合があります。
素行要件 必要
  • 保険の支払い
  • 年金の支払い
  • 税金の支払い
  • 交通違反
必要
  • 保険の支払い
  • 年金の支払い
  • 税金の支払い
  • 交通違反
生計要件 あり
  • 独立して生計を営むことができること
  • 生計要件に関しては、永住申請ほど厳しくはないと実務経験上、感じています。納税や年金をしっかり行っていれば最低限の所得で許可が下りているように感じます。
あり
  • 独立して生計を営むことができること
  • 公表されているわけではありませんが、一人暮らしで年収300万円程度、同居する家族が増えるたびに、人数×70万円程度の上乗せが必要とされています。
日本語能力 あり
  • 小学校3年生程度の読み書きができること
なし
  • 日本語能力は特に必要とされませんが、N1などの日本語能力検定を持っていると申請上、有利となります。
現在の在留資格の有効期間 なし
  • 申請をする際に、現在取得している在留資格の有効期間に制限はありません。
あり
  • 申請をする際には、在留資格の有効期間が3年以上である必要があります。
能力要件 あり
  • 18歳以上で本国法で成人であること
なし

その他の相違点

帰化と永住についてその他の違いについても次の表にまとめてみましょう。

その他の相違点 帰化 永住
選挙権・被選挙権 あり なし
在留期限 なし なし
在留カードの更新 なし あり(7年ごと)
外国人登録 なし あり
再入国手続き なし あり
強制退去処分 なし あり
職業の制限 なし なし
年金加入義務 あり あり
住宅ローンなど銀行との取引 受けやすい◎ 他の在留資格より受けやすい〇

帰化・永住とも活動に制限はないために、就労についての制限はありません。

ただし、永住ビザでは公務員などの日本人しかなれない職業につくことはできませんし、日本人でないために参政権もありません。

また在留カードの更新や日本から国外へ行かれる際には再入国手続も原則として必要となります。

逆に帰化をして日本人となった場合には、公務員にもなれるでしょうし、参政権も有していますが、もともとの母国に入国するためには日本人としての渡航手続が必要になります。

日本に長らく住んでいる外国人の方にとって、「日本人として日本に住みつづけること」と「外国人として日本に住みつづけること」の違いは重要な問題であると思います。

「帰化」と「永住」の違いを十分に理解してから選択されることをお勧めしています。

永住許可の要件

永住許可を受けるための要件は次のとおりとなっています。

帰化申請の要件はこちらに記載しています。
徹底ガイド 帰化の7つの要件(許可を得るための必須条件)

素行要件

素行が善良であることが必要となります。

日本の法律を守り、日常生活を営んでいることが必要となります。

生計要件

日常生活において、公共の負担などに頼らず、自身の持っている資産や技能をもって、安定した生活が将来的にも見込まれることが必要となります。

居住要件

引き続き10年以上、日本に在留していることが必要です。

また、この期間のうち就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることも必要となります。

「引き続き10年以上日本に在留していること」の引き続きとは、途切れることなく日本に在留していることを意味しますので、長期間帰国して在留資格が途切れている期間があるような場合、永住許可の要件を満たしていないこともあります。

その他の要件

  • 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと
  • 納税義務等公的義務を履行していること
  • 現に有している在留資格(ビザ)について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること

10年在留に関する特例

永住許可を得るためには原則として引き続き10年以上日本に在留している必要がありますが、以下の場合には特例が認められています。

  1. 日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。その実子等の場合は1年以上日本に継続して在留していること
  2. 「定住者」の在留資格(ビザ)で5年以上継続して日本に在留していること
  3. 難民の認定を受けた場合、認定後5年以上継続して日本に在留していること
  4. 外交、社会、経済、文化等の分野において日本への貢献があると認められる者で、5年以上日本に在留していること
  5. 地域再生法(平成17年法律第24号)第5条第16項に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、 出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第36号又は第37号 のいずれかに該当する活動を行い、当該活動によって日本への貢献があると認められる者の場合、3年以上継続して日本に在留していること
  6. 出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」)に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
    ・「高度人材外国人」として3年以上継続して日本に在留していること
    ・3年以上継続して日本に在留している者で、永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること
  7. 高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
    ・「高度人材外国人」として1年以上継続して日本に在留していること
    ・1年以上継続して日本に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること

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帰化申請以外のその他の許認可申請についてお調べの方は、ひかり行政書士法人の総合サイト「許認可.net」もぜひご覧ください。

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