ここでは、帰化には3つの種類があり、それぞれ申請の要件などが異なることについて、解説したいと思います。
3種類の帰化申請
国籍法の第5条から第9条で帰化は、普通帰化、簡易帰化、大帰化の3つに分類されています。
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この3種類の帰化は、帰化できる要件によって分けられています。
普通帰化が通常版の帰化となり、状況によっていくつかの要件が緩和されてるのが、簡易帰化・大帰化となっています。
それでは、3種類の帰化について詳しく見ていくことにしましょう。
普通帰化
普通帰化とは、原則どおりに国籍法に規定されている7つの帰化要件をすべて満たしたうえでおこなう通常の帰化申請をいいます。
ここでは、7つの帰化要件を簡単にまとめておきますが、詳しく確認したい方は次のリンクをご覧くださいね。
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簡易帰化
一方で簡易帰化は、特定の条件を満たした場合に、帰化申請の要件である住所要件・能力要件・生計要件などが緩和される帰化申請のことをいいます。
特別永住者の方や日本人と結婚している外国人の方が当てはまることが多くありますが、実際にどのような場合に、簡易帰化に該当し、どの要件が緩和されるのかを次から見ていくことにしましょう。
住所要件の緩和
国籍法の第5条第1項で、「引き続き五年以上日本に住所を有すること」が帰化申請の居住要件となっています。
帰化申請を行うためには、引き続き5年以上(そのうち3年以上は就労可能な在留資格)、日本に「住所」があることが必要となります。
ですが、国籍法の第6条のいずれかに該当するような場合は、居住要件が緩和されることになります。
国籍法 第六条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。 |
ため息がでるほど、法律の条文はややこしいですよね。
まず、住所と居所、何が違うのでしょう?
- 「住所」
生活の拠点となる場所をいいます。 - 「居所」
生活の本拠とまでは言えないが、相当期間にわたって継続居住している場所のことをいう。
一時的にそこにいるという状況で利用される言葉です。
その点だけ理解して、次にいきましょう。
日本人であった方の子供
一 日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの |
まず「日本国民であった者」とは、もともと日本国籍を持っていたけれど、外国の国籍を取得するなどして、日本国籍を失った方となります。
その子どもについては、日本で継続して3年以上住んだ(住所でも居所でもOK)場合には、帰化できるということになります。
たとえば、韓国人と結婚した日本人が韓国に移り住んだ後、韓国籍に帰化し、その後に子供が生まれたとしましょう。
生まれた子どもは、当然韓国籍となりますが、その子どもが日本で引き続き3年以上住むことになれば、帰化申請ができるということになります。
日本で生まれた方
二 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの |
外国籍の方であっても日本で生まれ、継続して3年以上住んでいれば(住所でも居所でもOK)、帰化申請ができるということになります。
特別永住者の方などは、この条件をほとんどの場合、満たすことになると思います。
また、外国人夫婦が日本で子供を出産した後、その子が成人して来日したような場合も、居住要件が3年に短縮されることとなります。
日本に居所がある方
三 引き続き10年以上日本に居所を有する者 |
住所はなかったけれど、居所として日本に10年以上いましたという方も帰化申請を行うことができます。
ただし、申請時点では住所を有していることが必要です。
住所要件+能力要件の緩和
日本人の配偶者
国籍法 第七条 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。 |
国籍法第7条です。
「かつ」とか「又は」とかもう読む気にもなりませんよね・・・。
要約すると、次のどちらかに該当すれば、帰化申請を行うことが可能と定められています。
- 日本人と結婚している外国人で3年以上継続して日本に住んでいる方
日本に3年以上住んでいる外国人の方が、日本人と結婚した時点で帰化申請を行うことができます。 - 日本人と結婚して3年以上経っていて、1年以上継続して日本に住んでいる方
日本人と結婚して2年間外国に住んでいたけれど、そのあと日本で1年以上住んだ場合には帰化申請を行うことできます。
日本に3年以上住んでいる場合、日本人と結婚した時点で帰化の要件を満たすことができます。
また、日本人と結婚し、海外で結婚生活を送っていたが、その後来日し1年以上日本に住んでいる場合も帰化申請を行うことができることになります。
該当する場合は、住所要件が緩和されるのと能力要件(二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること)も緩和されるため、20歳未満であっても帰化申請が可能です。
住所要件+能力要件+生計要件の緩和
国籍法 第八条 次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。 |
もうずらっと要約してしまいましょう。
次のいずれかに該当する場合は、住所要件、能力要件、生計要件の三つが緩和されることになります。
日本での居住歴が緩和され、未成年であっても帰化することが可能となり、さらには申請者自身や同居する家族の収入のみで生活できないような場合も帰化が可能となりえます。
日本人の子
一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの |
親が先に帰化をした後に、子どもが帰化をする場合や外国人と結婚した日本人の子が日本で居住しはじめた場合などが該当します。
日本で居住歴がなく、未成年であっても帰化することが可能です。
外国籍の連れ子
ニ 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であつたもの |
日本人と再婚した外国人の連れ子であって、日本人と養子縁組をしたような場合が該当します。
養子縁組の際に、本国の法律で未成年であることも必要となります。
日本国籍を喪失した方
三 日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く。)で日本に住所を有するもの |
外国籍を取得した日本人が再度、日本国籍を取得する場合が該当します。
四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの |
日本で生まれ、無国籍の状態であった方が3年以上日本に住んでいる状態となります。
日本で生まれた子の親がその国の国籍を取得できないときに、未成年であっても帰化できるようにしたものとなっています。
大帰化
第九条 日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第五条第一項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる。 |
特別に功労があった外国人について、国会の承認を得て、法務大臣が帰化を許可することができるという特別措置ですね。
すべての要件を取っ払っての帰化をすることができますが、残念ながら今のところ事例はありません。
まとめ
どうでしたか?
大帰化はどうしようもないと思いますが、帰化申請の要件が緩和される「簡易帰化」に該当している方も多くおられると思います。
特に特別永住者の方や日本人の配偶者の方などは該当することも多いと思います。
自分の場合は当てはまりそうだけど、詳しく聞いてみたい。
自分が該当しているのかわからない?
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